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カスタム合成・フッ素化技術

フッ素化合物に関する設計技術、合成技術、高純度化技術に加えて、独自のフッ素化技術を確立し、既存製品だけでなく、さまざまな新しいニーズに対応する受託を行います。
各種の有機合成技術と組み合わせて、ラボスケールから量産スケールまで対応します。

実績

医薬中間体、農薬中間体、液晶、レジスト

得意/可能な反応

フッ素化/ニトロ化/スルホン化/臭素化/脱ハロゲン化/アルキル化/エステル化/エーテル化/金属水素化物による還元/アニオン重合/カチオン重合/ラジカル重合/乳化重合/リビング重合/水添反応/高圧反応/常圧蒸留/減圧蒸留/溶媒蒸留

フッ素化剤 - フッ素化テクノロジー

フッ素化剤は、特定の位置にフッ素原子を導入することができます。実験室で安全に使用できるフッ素化剤です。

求電子フッ素化剤:ダイキンフッ素化試薬 F-31

F-31の特長は、自己反応性、爆発性のない室温で安定な結晶です。
吸湿性もないため、取り扱いやすく、ガラス容器を用いる通常の合成実験に使用できます。

F-31は対アニオンも含めたほぼ完全な形でのリサイクルが可能です。反応後のプロトン塩は、溶媒に溶けにくいためほぼ定量的に回収されます。
プロトン塩は再びフッ素ガスでフッ素化することにより、F-31に変換することができ再使用できます。

フッ素化剤の比較

F-31は分子内の2つのフッ素原子が共に高い反応性を保持して使われるため、類似のフッ素化剤に比べ単位重量あたりの有効フッ素含量が格段に高くなります。

ダイキンフッ素化試薬 F-51(HARA Reagent) 化学式:IF5-Pyridine-HF

IF5にピリジン-HFを加えることにより室温でも安定な白色粉末になり、実験室で安全に使用できるフッ素化剤です。
IF5は工業的なフッ素化原料でありながら、空気中の水分でHFを発生しながら分解するため、取り扱いが難しい問題がありましたが、北海道大学大学院の原 正治教授により本試薬が開発されました。

工業用フッ素化テクノロジー(受託フッ素化)

上記フッ素化剤により、有望な新規含フッ素化合物が開発された場合、以下のフッ素化テクノロジーで受託いたします。

フッ素ガス(F2)による直接フッ素化

フッ素ガスは反応性や腐食性が極めて高く、その取り扱いには特殊な技術を必要としますが、ダイキンはその取り扱いと反応性の制御に関して豊富な経験を蓄積しています。

IF5-Et3N-3HF錯体によるフッ素化

IF5をEt3N-3HF塩と組み合わせて用いることにより反応の選択性が格段に向上し、さまざまな有機化合物のフッ素化に適用できます。
IF5-Et3N-3HF塩を用いたフッ素化においてユニークな点は、下記に示すとおり有機化合物の求核的な反応位置と求電子的な反応位置の両方でフッ素化反応が進行するところにあります。

4F(四フッ化)硫黄(SF4)によるフッ素化

4F(四フッ化)硫黄は、下記の例のように水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基を収率よくフッ素化することができます。

フッ素化の適用例

F-31 F-51 F-81 F-82 F2 IF5 SF4
RH→RF(活性H)
Ar-H→Ar-F
RS-CH2- →
RS-CHF-, RS-CF2-
RCO2H→RF
ROH→RF
R-C(S)- →R-CF2-
RCO- →RCF2-
R-C(S)SR' →R-CF3
RCO2H→RCF3

ビルディングブロックを用いた反応事例

オレフィン類

フルオロオレフィン類は、通常のオレフィンと異なり、フッ素の電子吸引性により求核試薬(Nu)の付加反応が進行します。

エーテル類

含フッ素エーテル類は、フッ素の電子吸収基により、求核試薬(Nu)との反応でさまざまなビルディングブロックに誘導できます。

ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)

求核種Nuは、C-2炭素上を攻撃・開環して相当する酸フロリドに変換します。Nuがハロゲンまたはかさ高い塩基の場合は、異性化反応が進行する場合もあります。

テトラフルオロオキセタン(TFO)
求核種Nuは、C-2メチレン炭素を攻撃し、フッ素イオンの脱離を伴って開環し、β位にNuをもつ α,α-ジフルオロケイトン、エステル、アミドなどに変換できます。
オクタフルオロイソブチルメチルエーテル(OIME)
OIMEは塩基性条件下でHFの離脱を伴って活性なビニルエーテルとなり、これを各種Nuと反応させることでさまざまな化合物に誘導できます。 また、酸性条件下では、加水分離によりエステルへと変換できます。

ヘキサフルオロアセトン(HFA)の反応

HFAはグリニャール反応やフリーデルクラフト反応により、ヘキフルオロプロピル基を導入することができます。

テロマー類

パーフルオロアルキルアイオダイド類、RfIは、Rf基の強い電子吸引性のため、求核種Nuとの反応性が著しく低く、以下の方法で官能基を導入することができます。

分析技術

FT-NMR(H,F,C)、FT-IR、GC-MS、HPLC、原子吸光、電子顕微鏡などを用いたフッ素化合物の構造解析が可能です。

GMP準拠の品質管理体制での医薬中間体供給

GMP準拠の品質管理体制を構築し、2013年10月に品質試験施設を新設しました。中間体に関してもGMPに準拠した品質管理体制のもと、高品質の中間体を安定して供給いたします。

各種分析機器

品質試験施設

高度なフッ素化の最新マルチプラントを新設

マルチプラント施設

ラボから量産前の数kg~数10kgのパイロットスケールに幅広く対応。 随時見学していただけます。

マルチプラントの特徴

ビルディングブロック・フッ素化技術を活用した全てのプロセスに対応可能
クラス10,000の充填室

本マルチプラント/主要機器リスト

反応器200~400Lハステロイ、フッ素樹脂ライニング
第一種圧力容器
蒸留塔 100L 20段相当
大型分取カラム(30cmφ×4m)

カスタム合成に関する一般的な流れ