フッ素樹脂
フッ素樹脂は耐熱性・耐薬品性・耐候性・電気特性に優れています。さらに、非粘着性、滑り性などのユニークな性質を有しています。そのため、自動車・航空機・半導体・情報通信機器から身近な家庭用品まで、幅広く使用されています。
概要
過酷で特殊な環境下で用いられるフッ素樹脂 ポリフロン・ネオフロン
フッ素樹脂は、耐熱性・耐薬品性・耐候性・非粘着性を活かし、自動車の燃料チューブ・半導体製造工場の薬液ライン・電線・航空機の離型フィルム・調理機器などの過酷な条件下で使用されています。また、電気特性(低誘電・低損失)が求められるプリント基板でもニーズが高まっています。
ダイキンでは大きく2つのシリーズのフッ素樹脂を開発しており、コア技術のフッ素ポリマーの設計・重合技術を活かした豊富な品揃え(ポリマー組成×変性タイプ)、充実のユーザーサポートでお客様にソリューションを提供しています。
ポリフロン
高性能なPTFE樹脂で、ファインパウダー・モールディングパウダー・ディスパージョンの3種類があります。
連続使用温度260℃の耐熱性、ほぼ全ての薬品に対する耐薬品性、難燃性(限界酸素指数 95Vol%)を持ち、摩擦係数が非常に小さく、滑り性、非粘着性に優れます。また、添加剤や可塑剤などを含まず、化学的に不活性であるため極めて純粋です。
ネオフロン
高純度で溶融成形が可能なPFA樹脂・FEP樹脂・ETFE樹脂などの6種類があります。
ネオフロンPFA
・PTFE樹脂と同等の特性を有しています。高純度のPFA-SHシリーズはフッ素イオンやパーティクルの溶出が少なく、半導体製造ラインのチューブ、バルブ、ウェハキャリアなどで多くの使用実績があります。一般グレード・高純度グレード・導電性グレードを揃えています。
ネオフロンFEP
・加工性に応じた品種を揃えています。主に、電線・チューブ・フィルムなどに使用されています。
ネオフロンETFE
・フッ素樹脂の中で最も優れた機械的強度と耐放射線性を有し、機械的強度とフッ素樹脂の特性の両立が求められるフィルムや用途に使用されています。融点や比重が異なる2系統の商品(EP-500系, EP-600系)を揃えています。
フッ素樹脂の選択
フッ素樹脂には様々な種類があり、同じ樹脂でも、溶融流動性・機械強度などの特性が異なる品番があります。特性や加工法の適切な選択で用途に最適な部材を設計開発することができます。まずは、次のような必要とされる物性から、品種を選択します。ダイキンの充実した技術サポート体制で、開発期間の短縮を実現します。
- 耐熱性/熱安定性
- 耐候性
- 滑り性
- 電気特性
セレクションガイド
●: 推奨 | PTFE | PFA | FEP | ETFE | EFEP | CPT | PCTFE | |
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化学分野 | 耐薬品性 + 耐熱性 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
耐薬品性 + 機械的強度 | ● | ● | ● | |||||
電機分野 | 電気特性 | ● | ● | ● | ● | |||
電気特性 +機械的強度 | ● | |||||||
機械分野 | 滑り性 | ● | ● | ● | ● | |||
低膨張係数 | ● | |||||||
その他の分野 | 耐候性 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
難燃性 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
光透過性 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
グレード・特長
ポリフロン PTFE
グレード | 主な用途 | 成形方法 | 特長 |
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一般圧縮成形 | フッ素樹脂の中で最も需要が多く代表的な樹脂 | |
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ペースト押出成形 | 剪断応力を加えることにより繊維化しやすい | |
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含浸 コーティング 活物質と混合、圧延 |
水分散液 剪断応力を加えることにより繊維化しやすい |
ネオフロン
グレード | 主な用途 | 成形方法 | 特長 |
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射出成形 押出成形 |
溶融樹脂 PTFEと同等の性能を有する |
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射出成形 押出成形 |
溶融樹脂 PTFE・PFAと同様の耐薬品性・電気特性 |
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射出成形 押出成形 |
溶融樹脂 透明性、成形加工性に優れる |
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射出成形 押出成形 |
溶融樹脂 汎用樹脂との溶融接着が可能 |
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押出成形 |
溶融樹脂 耐薬液透過性に最も優れる |
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圧縮成形 押出成形 |
溶融樹脂 各種ガスの低透過性に優れる |