ホーム > WEBマガジン > 【ダイキンのバイオマス材料開発】第二回 バイオマス材料の高機能化に貢献する生分解性・海洋生分解性樹脂複合材料

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開発品紹介

09/2026

連載【ダイキンのバイオマス材料開発】第二回

バイオマス材料の高機能化に貢献する生分解性・海洋生分解性樹脂複合材料

環境負荷低減への貢献が期待されるバイオマス材料ですが、バイオマス材料の代表格である生分解性樹脂においては、靭性や耐衝撃性、白色度、加工性など、さまざまな課題があります。本稿では、このような課題の改善への取り組みとして、当社独自の混練プロセスにおける微分散技術を活用し、材料内部の分散構造を制御することで、高機能化(靭性および白色度の向上)を達成した開発品をご紹介します。

【連載:ダイキンのバイオマス材料開発】

>第一回 材料設計技術を活かしたバイオマス材料の開発

 第二回 バイオマス材料の高機能化に貢献する生分解性・海洋生分解性樹脂複合材料


生分解性樹脂やバイオマス樹脂の課題、背景

生分解性樹脂は、環境負荷低減への貢献が期待される一方で、用途によっては性能面での制約が壁になります。たとえば、強度や靭性が不足すると、成形品が割れやすくなったり、長期使用に耐えにくくなったりします。また、外観の白色度が十分でなければ、採用が難しくなる用途もあります。当社では、こうした課題を「材料単体の特性」だけで考えるのではなく、材料内部の構造設計による解決を検討しており、混練によって相を微細に分散させることで、樹脂同士の性質を活かしながら、よりバランスのとれた材料へと高機能化しています。このアプローチにより、環境負荷低減への貢献と実用性の両立を目指しています。


バイオマス樹脂(生分解性) 複合材料(開発品)

本開発品は、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)と呼ばれる生分解性樹脂からなる複合材料です。生分解性樹脂同士を混練・微分散化させる当社独自の技術により、分散粒子の凝集を防ぎ、材料内部に微分散構造を形成・維持することができます。この構造制御により、従来技術では難しかった靭性および白色度の向上を実現し、フィルム成形などの加工にも適した材料となっています。

 


図1.ポリマーアロイの開発


Development of a PLA/PBS polymer alloy using micro-dispersion technology to improve toughness and whiteness


1) 機械物性

本開発品は、PLAやPBSの単体樹脂と比較して、機械物性のバランスを改善します。特に、引張伸びと衝撃強度の向上は、成形品の割れにくさや扱いやすさにつながる重要な特長です。

 

表1.機械物性の比較

Comparison of mechanical properties, including elongation and impact strength, of PLA, PBS, and the developed PLA/PBS alloy

 開発品1、2はマトリクスPBSのPLA(20wt%)微分散アロイ(混練条件違い)


2) 白色度

本開発品は、添加剤を入れずに、生分解性樹脂のみで高白色度を実現している点が特長です。外観品質の向上は、用途拡大に直結する重要な要素です。また、フィラー添加系と比較し、軽量化の効果もみられます。


表2.白色度の比較

Comparison of whiteness values for PLA, PBS, and the developed biodegradable polymer alloy

*本評価方法における白色度の有効範囲は40~100です。

 

3) 熱物性(ガラス転移温度、融点、耐熱性)

非相溶系アロイのため、PBS、PLAそれぞれのガラス転移温度と融点を有します。また、80℃の熱湯にサンプルを浸漬しても、大きな変形はみられず元の形状を保ちます。


表3.熱物性の比較

Comparison of thermal properties, including glass transition temperature, melting point, and heat resistance, of PLA, PBS, and the developed alloy

耐熱性の低いPLAは1分、それ以外は2分間浸漬。

4) フィルム加工性

薄膜フィルムとしての成形も可能で、実用用途への展開が期待できます。


図2.フィルム加工性の比較(当社開発品1: PBS/PLAアロイ)


Film processing performance of the developed PBS/PLA alloy demonstrating suitability for thin-film applications

MFR:16g/10min @200℃、2.16kg

バイオマス樹脂(海洋生分解性**)複合材料(開発品)

本開発品は、海洋生分解性樹脂と非海洋生分解性樹脂(PLA)を混練・微分散化させることで、高機能化(靭性向上と海洋生分解性を付与)を狙った複合材料です。


**ASTM D6691-24a法を参考に試験条件を設定し、海水中での生分解性評価を実施したところ、31日で80%以上の生分解度を示した。


1) 生分解度

本開発品は、海洋における生分解性を有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、またはポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を80wt%、PLAを20wt%含む複合材料です。生分解度試験ではいずれも80%以上の生分解度を示し、海洋生分解性を示しました。さらに、土壌及び実海域でのフィールドテストにおいても、原料単体以上の重量減少率を示し、海洋流出時の環境負荷低減に向けた材料設計として検討しています。

 

表4.生分解度

Biodegradation performance of marine biodegradable resin composites showing over 80 percent biodegradation in seawater testing

試験方法:国際規格ASTM D6691-24a法を参考に試験条件を設定 、試験対象:粒径125~250µmの粉末
生分解に要する期間は環境中の微生物の種類や濃度、温度、サンプル形状によって変化します。

 

2) 機械物性
本開発品は、PHAやPBSAなどの生分解性プラスチックと比較し、伸び率、耐衝撃性が向上しています。


表5.機械物性の比較

Comparison of mechanical properties of marine biodegradable resin composites and constituent biodegradable resins

 

 

3) 熱物性(ガラス転移温度、融点、耐熱性)

本開発品は非相溶系アロイのため、PHA、PBSA、PLAそれぞれの融点が現れます。また、80℃の熱湯にサンプルを浸漬しても、大きな変形はみられず元の形状を保ちます。


表6.熱物性の比較

Comparison of thermal properties of marine biodegradable resin composites, including melting point and heat

耐熱性の低いPLAは1分、それ以外は2分間浸漬。

想定用途

当社の生分解性バイオマス材料は、以下のような用途を想定しています。


具体例
3Dプリンター用フィラメント、農業用マルチフィルム、包装用フィルム、食品包装材、カトラリー、漁業用ネットなど


ご質問やサンプルのご要望など、お気軽にお問い合わせください。

注)記載の数値は代表値であり、保証値ではありません。

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【ダイキンのバイオマス材料開発】第一回

材料設計技術を活かしたバイオマス材料の開発

生分解性樹脂やバイオマス樹脂には、靭性や耐衝撃性、外観品質、加工性などの面で課題があり、実用化の障壁となることがあります。当社のテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)では、混練プロセスにおける微分散技術を活用し、材料設計の観点から課題解決に取り組んでいます。その技術を活かし、環境負荷低減への貢献と機能性の両立に向けた複合材料の開発・提案を進めています。

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